ビジネスシーンにおいて、目上の方やお客様に対して謙虚に否定する時、あなたはどう答えていますか?
例えば、取引先から「先日依頼されていた資料をお送りします。遅くなってしまい申し訳ございませんでした。」というメールが来たとしたら、いかがでしょうか。
「とんでもない」または「滅相もない」を使い人が多いと思います。
言葉はこれで合っていますが、丁寧さには欠けてしまいますね。
そこで、丁寧にしようとして、以下のような言葉をよく見かけます。
「とんでもありません」
「とんでもございません」
「滅相もありません」
「滅相もございません」
と、答えていないでしょうか。
実は、これら使い方は間違っています。
正しい使い方を解説しますので、是非ご覧ください。
「とんでもない」「滅相もない」のどちらも、それぞれ一語の形容詞です。そのため、「ない」を「ありません」や「ございません」と置き換えることができません。
もしも、「とんでも」を単独で使うことがあるのなら、「とんでも」+「ない」に分割して、「ない」を丁寧語とすることができるかもしれませんが、「とんでも」「滅相も」だけを使うことって無いですよね?
極端な例を出すと、「美しい」を「うつく」+「しい」に分割できないのと同じことが言えます。
言葉の意味はそれぞれ以下の通りです。
では、正しい使い方を見てみましょう。
形容詞を丁寧にするには、「~ことでございます」とつけましょう。
今回の場合、
「とんでもないことでございます」
「滅相もないことでございます」
となります。
ただし、「とんでもない」には相手を強く否定する意味もあるため、使い方次第では相手に誤解を招いてしまう可能性もあります。謙遜の意を込めてやんわり否定したはずが、強く否定したと勘違いされては関係性を崩しかねないので、気を付けながら使いましょう。
以上が「とんでもない」「滅相もない」の正しい丁寧語の使い方です。
近年ではインターネットで敬語の使い方を調べる機会も多く、間違った使い方をしている記事を参考にしてしまい、個人での正誤判断が難しくなってきていると言えます。
社会人である以上、正しい日本語を身に着け、”デキる”ビジネスパーソンになりましょう。